わすれな草
かっとび紫帆りんの旅芸人日記
矢吹紫帆
2001年4月1日好評発売
10万人とふれあうコンサートで出逢った人・動物?・自然
笑い、感動、怒り、哀しみ、失敗、なんでもある。
読み始めたらやめられなくなるほど引き込まれます。
はる書房 ¥1,500+消費税
序章
場末のクラブのピアノ弾きだった私が、ステージで華やかなスポットライトを浴び,
たくさんの人々と素晴らしい出会いをして
幸せな人生を歩んでいけるようになろうとは、
昔の自分では、想像も出来ない事でした。
自分のことが嫌いで、人とも話せなかったくらい性格の私が、
何かの役に立つなんて思えなかった落ちこぼれの私が、
演奏して人々に喜んで貰える、こんな夢のような世界が
ドアーの向こうに待っていたのです。
「あなたにとって夢ってなんですか?」と聞かれたら大抵の人が
「夢?夢なんかもう、とうの昔に忘れたよ」と答えるかもしれません。
しかし、私は子供の頃の音楽家になる夢を諦めきれなかったのです。
そのために、たくさんの試練と苦難が待ち受けていました。
でも、やらないで諦めるより、失敗しても力一杯やってみたかったのです。
こんな大変なことは、もういやだと止めようとしても止めさせてくれな
い状況が続いたとき、私は何か大きな力で動かされていることを感じました。
細々と危ないかしげに、一歩一歩階段を登って行くうちに、
やっと自分の夢が実現してきたのです。
この本は、苦労話を話したいから書いたのではありません。
せっかく一度の大切な人生です。世間体や周囲のことばかり考えて,
本来、自分のやりたいことを我慢して生き生きしていなかったり、
ストレスをため込んでいるのに外見だけ仲のいい夫婦を装ったり、
素直な心の叫びにふたをして、偽りの人生を生きていませんか?
勇気を出して自分の人生を生きて行くために、ちょっとドアーを開け
るだけで全然別の素晴らしい人生が待ち受けている…・
そんなドアーの向こうのお話です。
私もドアーを開けるのには、勇気が要りました。まるで暗澹たる深い
海に身投げをするような気持ちでした。
でも、今振り返ってみて、あの時、もし、そのまま留まってしまっていたら、
このドアーの向こうの素晴らしい景色や人々とは永遠に会え
なかったのだと思います。
昔は、速く成功したい、有名になりたいと思っていましたが、京都の
森の中の家に引っ越してから音楽を聴いて人が喜んでくれたらいいな…
という気持ちになっていました。
そして、電車に乗っても知らない人ばかり・・・・一体人生の中で何人
の人と出会えるのか、一人でも多くの人と出会いたい・・・・そんな思
いで始めたコンサートが「10万人とふれあう全国コンサート」でした。
旅芸人として全国や海外演奏を始めてから本当にいろいろな方々
に励まされ、感動的な出会いの連続でした。
波瀾万丈だった人生を振り返って一つの本にしたいと思い、長年書
き溜めてきた日記をひも解いて見ました。
その中でおもしろい裏話や感動する話を抜粋してみました。
何分にも文章の稚拙さや、至らぬ点はお許し頂き、旅芸人日記とし
てお楽しみ頂けましたら幸いです。
とかく大掛かりになりがちなシンセサイザーですが、もっと気軽に楽
しんで頂く為、これからも必要とされる所には、どこへでも出かけて
演奏していきたいと思っています。
矢吹紫帆
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