奇跡の指輪

制作中の差間秀吉さん
奇跡の指輪

女神!!仁の平さん(中央)
と感激の秀さん
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天女座物語130
    2002/12
天女座の1階には、アイヌ民族の秀さんが
木工の彫刻をするために11月14日〜1ヶ月の
予定で滞在しています。
秀さんとは、もう20回以上もいっしょにジョイント。
古式舞踊を踊ってもらっています。

北海道、層雲峡に住んでいるのですが
冬は雪のため、熊野で大きな作品を何体か
作りたいと意欲的に仕事をしています。

そんなある日、天女座のカフェに来たお客さんが
カフェにある秀さんの彫ったふくろうを見て
「私もアイヌの人の彫った指輪を持っているのよ。」と
緑がかった木の指輪を見せてくれ、「裏にビッキーと
彫ってあるの。これ、骨董屋で300円で買ったんだけど。」
「ええっ!!!ビッキーといえば、今はなきあの天才的な
彫刻家では?」と、とにかく1階の秀さんに見せに行きました。
秀さんは、一目見るなり「あ、これ、ビッキーの彫った指輪だ!」
ビッキーさんは、彫刻家で有名な人で、一時カナダに行って
大きな作品をたくさん作っていたそうです。
自然を愛し、ただ作品を作り、欲もなかったのですが
作品が認められ始めた57歳でこの世を去りました。
ビッキーさんが亡くなった時、有名美術館が彼の作品を
探して、どんな小さなアクセサリーでも買っていったそうです。

秀さんが、一番尊敬するビッキーさん、その指輪がここに
ある!鳥肌が立つ思いでした。

「あなた、これ、すごい価値があるから大事にした方がいいよ。」
仁の平さんは、「そうですか。東京の骨董やで埃にまみれて
いたんですけどね。」と言いながら
「秀さんにこの指輪あげますよ!」
「えっ!?本当に?いいんですか?」秀さんの驚き。
「きっと秀さんが持っていた方がビッキーさんも喜びますし。」

あんなに価値のあるものだと強調して私達も言ったにも
かかわらず仁の平さんは、あっさりと指輪を秀さんに
あげたのでした。

秀さんは、今まで生活のために小さなアクセサリーを
彫って来たけど
いつか個展が開きたいと天女座に来て最初に彫った
カントコロカムイの女神像をきっかけに、創造の欲求が
吹き上げ、今年1ヶ月滞在し作品にとりかかっていた、
そんな姿を天国のビッキーさんが見ていたとしか
思えません。

秀さんは、20日まで滞在し、3体の作品を完成させる予定。
毎年、秋になると天女座に来て徐々に作品を作り貯め、
3年後には天女座の1階で個展をしたいと目を輝かせている。
そんな時、奇跡のように、指輪が・・・・・。
すごいとしかいいようがない。

「秀さん、ここは、カムイミンタラ(神の住む庭)だね!」と私。
「ほんとうだー。熊野はカムイミンタラだね!」
秀さんは顔をほころばせて笑ってくれた。
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