天女座物語1



天女座といってもまだ、ホールがあるわけじゃなし、引っ越したというだけな
のに「ホール完成おめでとう!」というお祝いやらお花が届いています。すみ
ません。まだ、これからです。大資本があるわけじゃないので地元の方々と
一緒に手作りしていくのです。今日は、大家さんがやってきていい話をしてく
れました。一見、製材の仕事をしているとっつきにくい頑固そうなおじさんです。
「山を見て緑がきれいと皆言うが、人工的な植林は、間伐してやらないと光は
ささないし、やっぱり人工的なものは手をかけてやらないといかん。それに誰
も気付いておらん。山に入ってみるとよくわかるが、杉やひのきは窒息しそう
なくらい密集している。栄養失調の状態なのだ。」大家さんと初めてゆっくり話
しました。筋のある方で、お話がしみ込んできました。ここは、全国有数の過疎
地です。トイレもぼっとん便所だし、京都のように風呂でも、「水位もお湯の温度
も自動」というわけにはいきません。高いお金を出さないとテレビも入りません。
買い物も不便です。新聞もテレビもない生活。

となりのおじいさんは、「若いもんが引っ越してきたから何やしらん嬉しくて、酒を
飲んでしもうた・・・・」と赤い顔をしてニコニコ笑ってくれました。家の近所はすべて
高齢夫婦。息子や娘は都会へ行ったきり。これから先どうなっていくのだろう・・・・
と考えているのかいないのか。朝から農作業に精を出す老人たち。でもここには、
降るような星があり、澄み切った川があり、乱舞する蛍がいて、どこまでも続くエメ
ラルドの海がある。
無人販売の100円均一のミカンや野菜。お金入れの箱には鍵もない、家に鍵もか
けない。ここは、人間らしい生活の原点があると思います。
熊野が好きです。 
          紫帆りん


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